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水口研究室の紹介
私たちは、コンピューターを用いて医薬品の開発を効率化するための研究や技術開発、病気のメカニズムの解明を行なっています。
私たちのプロジェクトは、他のプロジェクトと異なり、動物や微生物などを使った実験を一切行っていません。その代わりにコンピューターを利用した研究を行っています。こうした研究分野は「バイオインフォマティクス」と呼ばれており、私たちは実験を行っている研究者と協力しながら医薬品の開発に貢献することを目指しています。
コンピューターを用いた革新的創薬
近年の医薬品開発には、遺伝子やタンパク質解析実験などによる大量のデータが利用されています。こうした膨大なデータの処理は人手では困難であり、計算機を用いた研究が重要な位置を占めます。
私たちは、独自のソフトウェアを開発するとともに、医薬基盤・健康・栄養研究所の他のプロジェクトや大学の研究室と共同で具体的な創薬研究を行っています。開発したソフトウェアには製品化されたものもあり、製薬会社やIT企業などとの共同研究も進めています。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 (NIBIOHN)
- AI健康・医薬研究センター (ArCHER) バイオインフォマティクスプロジェクト
- AI健康・医薬研究センター (ArCHER) インシリコデザインプロジェクト
大阪大学
- 蛋白質研究所 計算生物学教室
バイオインフォマティクスとは?
薬を創ったり病気を治療したりするために、コンピューターを使って生命の謎を解き明かそうという研究分野です。
コンピューターを用いて生命の謎を解明
生命科学の実験に使われる装置の進歩は著しく、近ごろは膨大な量のデータが得られるようになってきました。もはや人の手では解析することが不可能なくらいの量になります。たとえば、人間の遺伝子は一人分で30憶文字にもなるのです。
バイオインフォマティクスでは、遺伝子やタンパク質などの膨大かつ多様な実験データから有益な情報を見つけ出したり、身体の中で起こっていることをシミュレーションしたり、といった研究が行われます。
一方で、こうした研究では私たちの遺伝子や健康状態についての情報が使われることがあります。そのため、個人情報と公共の利益のバランスについて、私たち一人ひとりが慎重に考えることが重要になります。
我々が開発したソフトウェア「TargetMine」

https://targetmine.mizuguchilab.org/
創薬ターゲットの絞り込みを支援する統合データウェアハウス
私たちは、製薬会社や大学などでの医薬品開発の支援を目指したソフトウェア「TargetMine(ターゲットマイン)」を開発しました。
医薬品開発の加速を目指して
医薬品を開発するためには、ゲノム科学などの最新技術を用いた実験を数多く行います。技術の進歩で、たくさんの実験結果が短時間で得られるようになる一方、複雑なデータの解釈に多大な時間やコストが費やされるという問題が起こってきました。
-たとえば、疾患に関連すると思われる候補遺伝子が実験から多数見いだされても、そのうちのどれが真の原因遺伝子なのかを判断するためには、各遺伝子に関する様々な情報を分析する必要があります。これはとても面倒な作業であり、またそのため、実験データを活用しきれないことも多くあります。
そこで「TargetMine」では、世界中にあるさまざまな情報を内部で統合しました。多様な情報は、バラバラに扱うのではなく1つにまとめることで真価を発揮するためです。
-たとえば、楽天市場や食べログ、価格.comを想像してください。様々な商品に1つのページからアクセスすることで、私たちは探している製品を見つけやすくなるのです。
私たちは、いろいろな実験データから候補遺伝子を絞り込んで次の実験で確認する、という方法で「TargetMine」の有効性を検証し、C型肝炎を治療する医薬品の開発などに成果を上げてきました。
(文献)https://targetmine.archer.nibiohn.go.jp/documentation/references/